皮膚科コラム
【コラム② かゆみを止める飲み薬 自分で気づかない副作用に注意】
2023-06-02
皮膚のかゆみやじんましん、花粉症などの治療によく使われる「抗ヒスタミン薬」という飲み薬があります。皮膚科の診療でも毎日多くの患者さんに処方しています。
ヒスタミンは皮膚や鼻の粘膜ではアレルギー性の炎症を起こす物質ですが、実は脳の中では目を覚まして活動し記憶力を高めるなどの働きもしています。
抗ヒスタミン薬を飲んで日中眠くなることがあるのはそのためで、薬が脳に移行してヒスタミンの脳内の働きをブロックしてしまうからです。
また、患者さん本人が眠気を自覚していなくても「気がつかないうちにパフォーマンス低下」を起こしていることがあり、「薬による二日酔い」と言われることもあります。このような副作用の出方・感じ方にはかなり個人差があります。
昔からある抗ヒスタミン薬の多くは、眠気やパフォーマンス低下が起こりやすく、総合感冒薬に含まれていて気がつかずに飲んでいることもあるので要注意です。服薬中は車の運転や機械の操作を避けるべきとされていますし、ご高齢の方では転倒してけがや骨折などを起こすリスクにも気をつけなくてはいけません。
近年発売されている比較的新しい抗ヒスタミン薬には脳に移行しにくく副作用の少ないものがあります。症状の軽い方や良くなった方にはそのような薬剤を選んで処方するよう心がけています(処方の際に、今まで風邪薬で眠くなったことはありますか?とお聞きします)。