皮膚科コラム
【コラム⑥ 局所性多汗症の新しい治療薬】
2023-07-18
「局所性多汗症」とは、明らかな原因がないのに体の特定の部位に多く汗をかくため、日常生活に支障をきたす症状です。毎年気温が高くなる5月から10月ごろまでの時期に、症状が悪化する方が増えてきます。
- 抗コリン外用薬
この数年間で新しく発売された治療薬で、皮膚の神経から出される発汗を促す物質(アセチルコリン)をブロックすることで効果を発揮します。腋窩多汗症ではゲル剤(写真1)や個包装のワイプ剤(写真2)、手掌多汗症ではローションタイプ(写真3)の薬剤が現在保険適応となっています。
主な副作用は接触皮膚炎(かぶれ)や口の渇きなどですが、飲み薬の抗コリン薬に比べると便秘などの全身への影響はかなり少なくなっています。ただし、薬剤がついた手で顔をさわると眼がかすむおそれがあるため注意が必要で、12歳未満のお子さんやの顔面の多汗症には使用できません。
足底の多汗症や小学生の腋窩・手掌多汗症では、院内製剤の塩化アルミニウムの塗り薬(汗の出口をふさいで発汗を減らす)を従来通り使用してもらっています。
顔面には現状ではあまり良い塗り薬がなく、今後の新しい薬剤に期待したいところです。